この記事では、小学校5年生の算数で学ぶ「割合」の応用問題として、特に出題される「わりびき(割引)」と「わりまし(割増)」について簡単に解く方法を、ポイント含めて詳しく解説します。割引・割増は、日常生活でもよく使用する考え方ですので、解き方を覚えたいひと、また、子どもに解き方を教えたいお父さん、お母さんは、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
小学校で勉強する「割合」の授業について
わりびき(割引)、わりまし(割増)の問題は、小学校5年生で学ぶ「割合」の応用問題です。ちなみに割合の授業では、基礎からハイレベル問題まで、以下のようなカリキュラムがあります。
この記事では、よく出題される「わりびき」「わりまし」の文章問題に特化して解説します。
割合の考え方や、くもわ、数直線など、基本的な内容が知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。
わりびき・わりましの文章問題を解くポイントは?
ポイント1:価格の用語を理解する
わりびき、わりましの問題で、一番ネックなのは価格にまつわる用語です。大人ならまだしも、小学生にとって原価、定価、売値、利益など馴染みがない言葉なので、ここで意味が分からず混乱します…。
もちろん、わりびき、わりましの問題は、すべてがお金の計算ではないのですが、出題が多いので覚えていて損はありません。まず初めに価格にまつわる用語の意味を理解することからスタートしましょう。
価格で用いられる用語
↓↓価格の問題で使う用語をまとめてみました。
わりましの問題でよく出題されるのは、原価、または仕入れ値に対して、利益を「わりまし」して定価を決めるパターン。原価はいくらか、定価はいくらか、利益はいくらか、といった内容が問われます。
また、わりびきの問題でよく出題されるのは、定価に対して「わりびき(割引)」して売値を決めるパターン。売値はいくらか、定価はいくらか、割引はいくらか、といった内容が問われます。
【ご注意】上記はあくまで一例です。例えば、原価から「わりまし」した価格を売値と表現するときもありますし、売値を「わりびき」しすぎて原価よりも下がってしまう出題もあります(お店は赤字ですね…)。でも、基本的な価格の考え方を知っておけば応用がきくので、ぜひ用語を覚えておいてください。
ポイント2:文章を読み解く
他の割合の文章問題と同様、わりびき、わりましの文章問題も、文章の中から問題が何かをつかんで、内容を理解し、それを処理するために数字を使う、という思考の順番が求められます。
そのためには、わりびき、わりましの問題で出る原価、定価、売値、利益、割引の数が、それぞれもとにする量、比べられる量、割合のどれに該当するのかを理解するのが重要です。
また、文章問題を解く場合、以下の3パターンがあることも覚えておいてください。
- 割合を求めるときは、もとにする量と比べられる量を見つけます。
- 比べられる量を求めるときは、もとにする量と割合を見つけます。
- もとにする量を求めるときは、比べられる量と割合を文章から見つけます。
このように、文章には必ず、求める項目と、答えを導く2つの項目が記載されていますので、いかにこの3つの項目を文章から読み解くかが大切なカギとなります。
ポイント3:割合の答えを求める方法を覚える
文章の中から3項目を見つけたら、答えを導くために数を計算します。
割合の文章問題で出題される3項目(割合、比べられる量、もとにする量)の関係は、それぞれ3つの式で成り立ちます。
1.割合=比べられる量÷もとにする量
2.比べられる量=もとにする量×割合
3.もとにする量=比べられる量÷割合
この式は、下のように『くもわの公式』と呼ばれる図で覚えることができます。
割合の文章問題で必要な式は3パターンだけです。ですので、この図を覚えておいて文章から数を当てはめれば簡単に解くことができます。
では、実際の例題を使って、わりびき、わりましの問題を解くテクニックを紹介します。
「わりびき」の問題の解き方
ここからは、以下の問題について手順ごとに解説します。
【例題】
では、さっそく解き方をスタートします!
①文章を読んで問題を見つける
まずは文章を読みましょう。ここで問われている問題は何か、それを見つけるよう読みます。
文章を読むと、もともと定価800円だったお弁当が、30%びきになったときの売値はいくらかを求めるのが問題であることが分かります。
「売値はいくらですか?」のほかに、「代金はいくらですか?」「ねだんはいくらですか?」といった表現もあります。いずれにせよ大切なのは、もともとの価格から「わりびき」された後の価格が問われていることに気づくことです。
②「もとにする量」を見つける
「もとにする量」となる、割引き前の価格を見つけます。
今回の文章では「定価800円」とあるので、もともとの価格である800円が「もとにする量」となります。また、もとにする量を見つけたら、数を丸で囲み「も」と書いておきましょう。
価格を求めるわりびきの問題では、
定価→売値
定価→代金
のように、定価をもとの価格とする場合が多いです。
③「割合」を見つける
つぎに「割合」を文章から探すのですが、ここで注意点があります。
「定価の30%びき」とパーセント表示があるので、この部分が割合かと思いきや、あくまで30%は値引き分の割合なので、このまま計算できません。
↓まず、30%は百分率なので割合(少数)に置き換えます。
↓そして、定価に対する売値の割合は、次のように考えます。
売値の割合について、計算式を立てると次の通りになります。
売値の割合は「0.7」であることが分かりました。割合が求められたら、数を丸で囲み「わ」と書いておきましょう。
④売値を求める式を考える
3つの要素の関係を表す「くもわ」の公式を使って、売値である「比べられる量」の求め方を導きます。
今回、求めたいのは比べられる量です。なので比べられる量の「く」の文字を隠すと、「も×わ」が残ります。ですので、比べられる量を求める式は「もとにする量×割合」であると分かります。
⑤式に数をあてはめて計算する
文章のそれぞれの数を「比べられる量÷もとにする量」に当てはめて計算すると、割合を求めることができます。
計算で求めた結果、売値は560円でした。これでこの問題は終了です!
今回の解き方は、売値の割合を求めて計算する方法です。一方、30%の値引き価格を求めて定価から引く方法もあります。どちらでも答えは一緒ですので試してみてください。
この問題は、ふだんの買い物でも利用できます。スーパーで割引シールが貼ってあったら、ぜひ子どもと一緒に計算してみてください。例えば「40%OFF」のシールが貼ってあったら、1-0.4=0.6なので、定価×0.6で売値が出ますよ。
「わりまし」の問題の解き方
ここからは、以下の問題について手順ごとに解説します。
【例題】
では、さっそく解き方をスタートします!
①文章を読んで問題を見つける
まずは文章を読みましょう。ここで問われている問題は何か、それを見つけるよう読みます。
文章を読むと、もともと仕入れ値2000円だった魚を、利益20%を加えて売るときの値段はいくらかを求めるのが問題であることが分かります。
ここのポイントは、仕入れたときの値段に利益を「わりまし」した価格が問われていることに気づくことです。
②「もとにする量」を見つける
「もとにする量」となる、はじめの価格を見つけます。
今回の文章では「2000円で仕入れた」とあるので、はじめの価格である2000円が「もとにする量」となります。また、もとにする量を見つけたら、数を丸で囲み「も」と書いておきましょう。
③「割合」を見つける
つぎに「割合」を文章から探すのですが、ここで注意点があります。
「利益を20%」とパーセント表示があるので、この部分が割合かと思いきや、あくまで20%は利益分の割合なので、このまま計算できません。
↓まず、20%は百分率なので割合(少数)に置き換えます。
↓そして、仕入れ値に利益を追加した売値の割合は、次のように考えます。
売値の割合について、計算式を立てると次の通りになります。
売値の割合は「1.2」であることが分かりました。割合が求められたら、数を丸で囲み「わ」と書いておきましょう。
④売値を求める式を考える
3つの要素の関係を表す「くもわ」の公式を使って、売値である「比べられる量」の求め方を導きます。
今回、求めたいのは比べられる量です。なので比べられる量の「く」の文字を隠すと、「も×わ」が残ります。ですので、比べられる量を求める式は「もとにする量×割合」であると分かります。
⑤式に数をあてはめて計算する
文章のそれぞれの数を「比べられる量÷もとにする量」に当てはめて計算すると、割合を求めることができます。
計算で求めた結果、利益を追加した売値は2400円でした。これでこの問題は終了です!
今回の解き方は、売値の割合を求めて計算する方法です。一方、20%の利益分を求めて仕入れ値に足す方法もあります。どちらでも答えは一緒ですので試してみてください。
まとめ:わりびき、わりましの解き方を覚えよう
この記事では、小学校5年生の算数で学ぶ割合の応用問題「わりびき」「わりまし」の解き方を手順ごとに詳しく解説しました。割合の文章問題について、解き方のポイントは以下となります。
- 「仕入れ」「売値」といった価格の用語を理解する。
- 文章中の「割合」「もとにする量」「比べられる量」を読み解く。
- 文章中の数字を使って式を立て、答えを求める。
- 使用する式は以下の3つ。
割合=比べられる量÷もとにする量
比べられる量=もとにする量×割合
もとにする量=比べられる量÷割合
文章問題は、何問も解くことでパターンを覚えることができます。ぜひこの記事を参考に、割合の文章問題を解く方法を身につけてください。
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