旧石器時代から縄文時代に考え出された打製石器。その素材となる「黒曜石」を教科書で見たときには、その黒光りしていて、鋭い危険なフォルムに見惚れたものです。
どうやら令和時代の子どもも同様のようで、案の定、授業のあとに「黒曜石はどこで採れる??」と聞いてきました。
別名「天然ガラス」とも言われる黒く輝くその石を見つけるべく、関東で採れる場所を調査し、子どもと探してきました。
自由研究にもなる黒曜石を採取したい方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
関東で黒曜石の採れる場所
黒曜石は、マグマの一部が急速に冷え固まってできたガラス質の火山岩です。
火山大国の日本では100ヶ所以上の黒曜石原産地があるようですが、関東で有名なのは栃木県高原山にある「高原山黒曜石原産地遺跡群」です。ここは日本最古の黒曜石採取地で、約4万年前から始まる旧石器時代にここで黒曜石を採掘した遺跡が残っています。
残念ながら、高原山は日光国立公園のエリア内のため黒曜石を採取することはできません。
それで今回は、高原山の鉱脈から剥落(はくらく)し、転石した黒曜石を狙おうと考え、高原山より流れ出る箒川を調査しました。
箒川への行き方
箒川は、栃木県那須塩原市を流れる那珂川水系の一級河川です。
有名な塩原温泉の渓谷を流れていて、紅葉の名所としても知られています。
今回調査の拠点とした、箒川にある公園を2カ所紹介します。
箒川の公園
まんまなネーミングです(笑)
駐車場、トイレのある静かな河川公園で、箒川が目の前に流れています。
クルマ:東北自動車道 西那須野塩原IC から約8分(約6km)
公園は川遊びができる地形になっていますが、川原は少ないです…。
公園から少し下流に移動すると川原が現れます。
箒川運動公園
小規模ですが駐車場とトイレがある公園です。河川に降りるには駐車場から少し歩く必要があります。
クルマ:東北自動車道 西那須野塩原IC から約6分(約4km)
最終的には、箒川運動公園を拠点として黒曜石採取しました。
黒曜石が採取できる場所
今回は、以下画像で示している箒川の河川敷を調査して、実際に黒曜石を採取しています。
堤防を越えて、河川敷に入ると下記のような風景となります。
2024年 追記: 黒曜石の採れる場所
2024年9月に箒川の下流を調査したところ、以下の場所でも採取できました。
ここは田んぼの農道からアクセスできる場所で、新しい橋を架けている最中でした(現時点で)。川原に行くときは、工事車両や、農作業の邪魔にならないよう気をつけてください。
黒曜石採取で用意するもの
川に入るわけではないので、子どもたちはスニーカーでもOKです。
また、黒曜石の破片は鋭く危険です。黒曜石を割る際は、必ず防護メガネをかけ、手を傷つけないよう手袋をして作業してください。
黒曜石採取に適した時期
冬がおすすめ
鉱物にシーズンは無いので、どの時期でも採取できるのです。しかし、夏場は草が生い茂ってしまい、川原に近づけない場合もあります…。子どもと行くのであれば、草が枯れて川原にアクセスしやすい冬がおススメです。それに、冬は川の水量も少ないので川原も広くなっています。
大雨・台風の時期は×
大雨・台風時やその直後は増水が生じるため避けます。特に箒川は上流に塩原ダムがあるため、雨天時に川の水量が少なくても、ダムが洪水調整のため放流を始めると、一気に水量が増加するので非常に危険です(放流30分前にサイレンが鳴ります)。できるだけ天気が続いている季節を選ぶと安全です。あと蚊やブヨがいるので夏に行くときは虫よけは必須です。
逆に、大雨や台風によって大水が出た後は、川原の石が入れ替わり、黒曜石が見つかるケースもありました。もちろん危険ですので、水が引いた後に行くようにしてください。
黒曜石の探し方
まず、黒曜石がどんな形状か、スマホなどで確認する。
黒曜石というと、尖っていて黒光りしている石と思われがちですが、それは岩石が割れたときの状態です。実際は漆黒ではありますが丸い形状で見つかることもあります。ですので黒曜石の原石がどのようなものかスマホなどで画像を確認しましょう。黒曜石の色合いや形状、大きさを知ることで、子どもたちはより絞って探すことが出来るようになります。まずは「目に教える」ことが大切です。
しゃがみこんで、ひとつひとつ丁寧に石を見る。
川原は石だらけのため、立ちながら下を向いて探しても、正直見逃してしまいます。落ち着いてしゃがみこんでじっと観察し、ひとつひとつ石を見ることが大切です。はじめは石がたくさんあるので気が遠くなりますが、だんだん目が慣れてくると判断ができるようになってきます。
黒曜石の採取例
黒曜石発見! 名前の通り、漆黒なガラス質が放つ輝きが魅力的です。
試しに叩いて割ってみたところ。
社会の教科書にある打製石器のような、非常に鋭い破断面になりました。
ガラス質の黒光りがメチャクチャ渋いです。
黒曜石特有の波状の断面が、すでに打製石器を彷彿させます。
大物の黒曜石も見つかりました!
あとでナイフを作ってみようと思います。
箒川は黒曜石だけではなく、緑色凝灰岩(グリーンタフ)もよく見つけられます。
慌てずに、しっかりと調査すれば、けっこう高確率で黒曜石を発見できます。
箒川で黒曜石採取をするときの注意点
- 大雨・台風などによる増水が発生する危険があります。川が増水しているときは採取はしないようにしましょう。また先述の通り、ダムが洪水調整のため放流を始めると、一気に水量が増加するので非常に危険です(放流30分前にサイレンが鳴ります)。できるだけ天気が続いている季節を選ぶと安全です。
- たとえ増水していなくても川は危険です。必ず親の目の届く範囲で子どもは黒曜石探しをしましょう。
- 毒ヘビやハチなど生息している場合があります。草むらを歩くときなど充分注意してください。
- また、蚊やブヨもいますので夏場は虫よけスプレーをしてから河川敷に入りましょう。
まとめ:黒曜石採取を楽しもう!
別名「天然ガラス」とも言われる、黒く輝くその石を見つけるべく、関東で採れる場所を調査し、子どもと探してみました。教科書に載っている黒曜石の実物を、自分で探し、見つけ出した時の感動はひとしおです。ぜひ子どもたちと一緒に旧石器時代に思いを馳せて黒曜石ハントを楽しんでください。
※観光地として整備されている場所ではないので、自然環境や地域住民の方々へのご配慮をお願いいたします。また、次に来る人たちも楽しめるよう採取マナーを守って楽しみましょう。
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黒曜石が採れる箒川の近くには、有名な塩原温泉もあります。宿泊を計画する場合は楽天トラベルで検索してみてください。
都心からもアクセスしやすい栃木県は、宇都宮の餃子や日光東照宮など、他にも見どころがたくさんあります。ゆとりのある計画で観光名所を巡るのもありです。