日本一高い山、富士山。誰でも知っているこの山に、子どもが登りたいと言い出しました。私は過去に登っているのですが、子どもと登るのは初めてとなります。それで、子どもや初心者におすすめの富士宮ルートについての詳細と必要な準備、実際の登り方、万年雪山荘の宿泊を含む体験談をまとめてみました。超有名で登山者向けに整備された山ではありますが、3,000メートル以上の高山ですので決して簡単ではありません。でも事前にしっかりと準備をして登山にのぞむなら、子どもと一緒に感動的な景色、思い出に残る体験ができるはずです。
富士山情報
標高:3776m(剣が峰)
静岡県と山梨県にまたがる活火山です。2013年に世界文化遺産に登録されており、そのためか登山道は整備され山小屋も充実しています。
ルートは大きく4つあり、各ルートとも他の3,000メートル級の山と比べ、鎖場やハシゴは(たぶん)無く、斜面をひたすら登れば山頂につくため、高度な技術が無くても、しっかりとした体力さえあれば初心者でも登れる山だと思います(もちろん滑落の恐れのある場所もあるのでご注意)。
登山適期
子どもや初心者は、開山期間に合わせて登山するのがベストです。この期間であれば山小屋が営業しているため、安心して登ることができます。
開山期間はルートにより異なりますが、だいたい7月上旬から9月上旬ごろとなります。以下のWEBサイトを確認して期間をチェックしましょう。
富士登山オフィシャルガイド
http://www.fujisan-climb.jp/index.html
参考までに2024年の開山期間は以下の通りです。
吉田ルート:7月 1日(月) 〜 9月10日(火)
それ以外のルート:7月10日(水) 〜 9月10日(火)
※登山道等の開通日及び閉鎖日は、残雪状況や気象情報等により変更となることがあります。必ず開通に関する最新情報を再確認するようご注意ください。
おすすめルート
富士山に登るルートは大きく分けて4ルートあります。
ちなみに各ルートはそれぞれカラーが決められていて、登山中の案内板も色分けされています。自分が登るルートの色を覚えておくと道迷いを防ぐことができます。
・吉田ルート → オレンジ
・須走ルート → 赤
・御殿場ルート → 緑
・富士宮ルート → 青
登るときはほぼ1本道ですので間違えにくいのですが、山頂から下山するときにルートを間違える恐れがあります…。自分の通るルートを覚えておくと便利です。
なお、2024年から吉田ルートは事前に通行予約と通行料2,000円の事前決済が必要になります。こちらのルートを計画する際はご注意ください。
おすすめは富士宮ルート
その中でも、初心者や子どもに一番のおすすめは富士宮ルートです。このルートをおすすめする理由は次の通り。
・山頂まで最短ルート!
・施設もしっかり整備されている!
・登りながら海が見える!(とくに子どもはテンション上がる)
こういった理由で、初心者や子どもでも安心して楽しく登ることができます。吉田ルートも施設が充実しているので初心者向きですが、シーズン中はけっこう混雑します…。個人的には富士宮ルートが登りやすいと感じています。
富士宮ルートのコースタイム
まず初めにハッキリ断言します。このコースタイムは体力のある大人用です。初心者や子どもと一緒に登る際は、こまめに休憩を取りながら、ゆっくりと登るほうが安全なので、上記のタイムの1.5倍~2倍を見込んでおくと、余裕をもって行動できます。
各合目ごとに山小屋があるので、登山中の休憩ポイントとして使用できます。
山小屋では飲み物や食事も販売しているので、飲食物を購入して補給することで持っていく荷物を軽くすることも可能です(お金はかかりますが…)。
ちなみに「〇合目」は正確な高さを表しているわけではありません。富士山スカイラインが出来たときに、その終点を「五合目」としたため、そこから数えて六合目、新七合目、元祖七合目と「〇合目」を元々あった山小屋の順に割り振ったらしいです。富士宮ルートは七合目が2カ所あるので「また七合目?!」とがっかりしないように初めから覚悟を決めて登りましょう。
事前の準備・調査
そもそも、登るのに必要な体力があるか確認
大人も子どもも、普段、運動を全くしていない人はやめたほうが無難です。少なくとも一日5~8時間ほど山道を登り降りするので、せめて他の山で同等の活動経験があることが必要だと感じています。
また、「未就学児でも登れた」経験を聞くことがありますが、それは、どの未就学児でも登れることの保証にはなりません。普段から山登りを少しづつ体験して、ある程度の活動ができると判断してから一緒に登るようにしてください。七、八合目あたりで子どもが疲れて泣き出したり、高山病でぐったりしている様子を見たことがあります…。登りたい気持ちも分かりますが、無理のない判断が必要だと思います。
参考までに「富士登山オフィシャルガイド」によると、子どもの体力と登山経験次第ですが、登山ツアーでは小学校4年生以上を受け入れる場合が多いと書かれていました。登山経験のない子どもの場合(大人もですが…)は、事前に近隣の山で登山練習をして慣れておくようにしましょう。
天気予報の確認
天気は非常に重要です。低い山と違い荒天による視界不良による滑落や、気温低下による低体温症など、子どもや初心者には命取りになるリスクが上がります。ですので、少なくとも雨天や強風時には登山を中止する覚悟が必要です。
富士山の天気は本当にコロコロ変わります。2週間前の予報は晴れであっても、台風や低気圧の影響で当日は大荒れなんてことも普通に起こります。週間予報を当てにせず、必ず前日、当日も天気予報を確認し、最終判断を行うようにしましょう。もし天気が崩れる場合は無理をせず日程を変更したほうが安全です。
いつも参考にしている天気予報サイトを案内します(あくまで予報です)。
てんきとくらす 富士山山頂
https://tenkura.n-kishou.co.jp/tk/kanko/kad.html?code=19150004&type=15
tenki.jp 富士宮市の天気(山麓)
https://tenki.jp/forecast/5/25/5030/22207/10days.html
登山の計画を立てる
まずは天気予報と併せて、登山の計画を立てます。
・何月何日に登るのか。
・何時にどの登山口をスタートするのか。
・何時にどの登山口に戻るのか。
・交通手段は何を使うか。
・山小屋はどこを利用するのか。
この記事や、他のサイトを調べて行程を立てましょう。
その際のポイントですが、子どもや初心者は、日帰り登山はせず山小屋で一泊することを勧めます。体力的にも大変ですし、急激な高低の変化で高山病のリスクも上がります。無理のない、本当にゆっくりと登れる行程を計画してください。(子どもは山小屋で泊まるのをめちゃくちゃ喜びます!)
もし可能であれば平日の登山がオススメです。土日祝日は登山者が多いため登山道や山小屋が混雑し、思わぬ事故につながることも。自分たちのペースで登れる日時を選択しましょう。
山小屋を予約する
計画を立て、山小屋に泊まる場合は事前に山小屋に予約を入れましょう。山小屋によってですが、4月から5月上旬あたりで予約スタートします。すぐに満室になることも多いので、山小屋のホームページなどをチェックして、早めに予約をしておきます。
基本的に富士山の山小屋は予約が必要です。満室の場合は予約を断られることもあるので、その場合はムリな行程を避けるため、そこより低い位置にある山小屋に連絡し予約をしましょう。予約が取れない場合は日程を変える必要があります。
もし仮に天気が崩れて日程を変える場合は、必ずキャンセルもしくは予約の変更を連絡してください。
キャンセル料は発生せずに変更をすることができます(たぶん。今まで利用したところはそうでした)。
富士宮ルートの山小屋の詳細、予約については、以下サイトを参考にしてください。
富士山表富士宮口登山組合(山室宿泊施設)
http://www.fuji-tozan.com/04_lodge.html
山小屋を楽しむ。 富士宮ルート
https://www.travelroad.co.jp/fujisan-yamagoya/fujinomiya/
(2024年より開始)静岡県富士登山事前登録システムに登録する
富士宮ルートを含む、静岡県側から富士登山を計画する場合は、事前登録が必要です。
そうすることで、登山時間や山小屋宿泊予約などの登山計画を事前に登録できます。
詳しくは以下、富士登山オフィシャルガイドからご確認ください
https://www.fujisan-climb.jp/info/20240605_2024shizuokaanzentaisaku.html
登録時に富士登山のルール・マナーについて、事前学習(eラーニング)が可能です。お子さんと一緒に動画で学び、正しく準備できます。
登録は任意ですが、登録していない場合は、登山口の五合目等で一旦足止めし、登山ルールやマナーの現地学習することになります。事前に自宅で登録しておくのがおすすめです。
持ち物・服装の準備
■登山時に身に着けるもの
- 靴(履きなれたもの。大人は登山靴だと足首を痛めにくい)
- リュック(20L~30Lくらい)
- 帽子(ハット、キャップ)
- 腕時計
- 手袋
■リュックの中身
- 登山計画書(登る時に提出)
- 防寒着(フリースなど。山頂付近は夏でも寒い)
- レインウェア(セパレートタイプのしっかりとしたもの推奨)
- ヘッドランプ、予備電池
- 水(ひとり1日1Lは最低必要。山小屋でも購入可)
- 食料(お昼ごはん、行動食。山小屋でも購入可)
- トイレットペーパー(使う分だけ。トイレにより備え付け有)
- 医薬品・健康保険証(応急手当キット、頭痛薬、胃腸薬など)
- 布ガムテープ(ギアの補修用)
- タオル
- ゴミ袋
- 財布(山小屋の宿泊、食事代。トイレ協力金のため100円玉多め)
- スマホ
■必要に応じて持っていくもの
- ウェットティッシュ(体を拭けると寝るときサッパリします)
- 耳栓(山小屋で寝るとき用。周りの音が気になる人は)
- 日焼け止め
- サングラス
- モバイル充電器
- USB充電ケーブル
- コンタクトケース・メガネ
- 化粧品
準備は必ず子どもと一緒にするようにしてください。そのほうが山登りに必要なものを子どもが知ることができ、自分で活動できるようになります。
親子で登山するときの準備と注意点については、以下の記事も参考にしてください。
富士宮ルートへのアクセス
■電車・バス
JR新富士駅
→ 富士急静岡バス 【富士山口(北口)5番のりば】
→ 富士宮口5合目
JR富士宮駅
→ 富士急静岡バス 【北口6番のりば】
→ 富士宮口5合目
夏季限定でお得な「富士登山バスフリーきっぷ」が発行されるようなので、ご利用前に調べておくと交通費が節約できるかと思います。
お問合せ:富士急静岡バス株式会社
http://www.shizuokabus.co.jp/
■マイカー
富士宮口では環境保全と渋滞対策のため、開山期間にマイカー規制が実施されます。ですので、この期間はマイカーでは登山口まで行けないため、水ヶ塚駐車場にクルマを停め、そこからシャトルバスで富士宮五合目まで輸送してもらいます。詳しいマイカー規制は、以下サイトよりご確認ください。
富士宮市 富士山スカイラインマイカー規制
http://www.city.fujinomiya.lg.jp/fujisan/llti2b0000000vad.html
水ヶ塚駐車場の場所
<東京方面>
東名高速道路 御殿場IC から約30km(約40分)
<名古屋方面>
新東名高速道路 新富士IC から約30km(約40分)
水ヶ塚駐車場の駐車場は約300台、マイカー規制中は1台1,000円の駐車料金がかかります。
ここの駐車場にはトイレ(登山シーズン中は24時間利用可能)や売店があり、登山前の準備や下山後の休憩が可能です。お土産も売っています。
シャトルバス・シャトルタクシーについて
水ヶ塚駐車場からシャトルバス・タクシーが出ます。参考までに2023年の利用料金、運行時間は以下の通りです。(年により金額や時間は変わる可能性があります。)
■シャトルバス利用料金
水ヶ塚駐車場 ←→ 富士宮五合目
片道 大人1,320円 (往復 大人2,200円)
片道 小人660円 (往復 小人1,100円)
■シャトルバス運行時間(所要時間 約35分)
行き(登山) 運行時間 6:00~18:00(60分間隔で運転)
帰り(下山) 運行時間 7:00~19:00(60分間隔で運転)
■シャトルタクシー料金
水ヶ塚駐車場 ←→ 富士宮五合目
片道 目安5,200円(小型車乗客4人)
■シャトルタクシー運行時間(所要時間 約30分)
マイカー規制期間中24時間利用できます。
※夜間(22:00~5:00)は昼間運賃の2割増。
富士山登山の情報、注意点
準備も無事終わり、いよいよあとは登るだけ。
その前に、以下のポイントを子どもと一緒に確認してください。
登山計画書を作成・提出
登山計画書を提出するならば、遭難発生時の迅速な救助に役立ちます。かならず作成し、登山口の届出ポストに投函しましょう。最近はオンラインでもできるみたいですね。
静岡県警察 登山計画書について
http://www.pref.shizuoka.jp/police/kurashi/sangaku/kekakusho.html
富士山保全協力金
富士山の環境保全、登山者の安全対策のため「富士山保全協力金」制度が実施されています。金額は 1,000円(子どもや障害者は協力していただける範囲の金額)。五合目から先に立ち入る来訪者が対象で、富士宮ルートの場合は五合目の登山口か、水ヶ塚駐車場で徴収があります。
なお、静岡県富士登山事前登録システムに事前登録した際に、協力金も事前に決済している場合は、登山口での支払いは不要です。
天候
登っている最中でも天候は常に気にしましょう。朝の天気予報が晴れだったからと言って油断しないでください。なにせ相手は日本一高い山、富士山ですので天候は急変しやすいです。
天気の急変により、激しい雨や雷が発生することも。登山ルートには雨宿りできる場所はありませんので、そんな時は速攻で下山、または近くの山小屋に避難することをお勧めします。ただし、山小屋は宿泊者向けの施設ですので、単なる雨宿りや休憩だけの利用はできません。
また、富士山では、100m上がるごとに気温が約0.6℃下がります。それにプラスして、風速1m/sあたり体感温度は1℃下がると言われています。山頂は日中でも平均気温が5℃、明け方は0℃以下にもなりますので、防寒着やレインウェアの準備は必須です。衣類の調整をしながら登山してください。
登山のペース
自分たちにあったペースで登りましょう! 慌てずにゆとりのある行程で登ることが大切です。
先述の通り、コースマップは子どもや初心者には合わないことが多いです。
子どもと登るなら、子どものペースを見極めたうえで、ルート上では小休憩をこまめに取りつつ、各合目にある山小屋についた時は大休憩を取るなど、水分やカロリー補給をしながら自分たちのペースで登ることが大切です。
ルート上で小休憩を取る時は、他の登山者の妨げにならないよう、広い場所を選んで休んでください。他の山に比べて登山者が多いので、渋滞を起こしてしまうと思わぬ事故につながります。
また下山時はとくに、疲労や膝の痛みのために時間がかかることが多いです。登りと同様、ゆとりある行程で計画しましょう。
トイレについて
トイレは各山小屋に設置されています。が、山小屋のトイレは基本有料(だいたい200円前後かかる)と覚えておいてください。でも有料だからと我慢してしまうと体調悪化につながるので、無理はなさらずに。ちなみに宿泊する山小屋では自由に使えます。なお、原則、小銭での支払いですので100円玉を事前に用意しましょう。それと五合目 休憩施設のトイレは無料で使用できます。
富士山の環境配慮型トイレでは、ゴミの投入は厳禁です。異物を投入してしまうと故障の原因となりますので、指定されたもの以外は絶対に捨てないでください。基本的に備え付けのトイレットペーパーも便器内に捨てるのはNGです。必ず使い終わった紙は、備え付けのゴミ箱へ捨てましょう。特に子どもは分からずにトイレに捨ててしまうこともあるので、事前に説明しておきましょう。
万が一の場合に備えたい人は、携帯トイレを持参するのもありです。
(ただ、ルート上に隠れられそうな場所は少ないですが…)
山小屋について
山小屋はあくまで仮眠を取る簡易宿泊所です。必要最低限の設備で運営しているので、ホテルのようなサービスは期待はしないでください。それと宿泊者以外は入れませんのでご注意ください。
また原則として、富士山の山小屋は開山期間のみの営業です。チェックイン、チェックアウト、食事といった利用時間も決められているので、予め各山小屋に確かめておきましょう。
富士山では水が貴重なため、お風呂やシャワーはありません。場所により手洗い用の水もありません。
水道もないため、山小屋で水を分けてもらうことはできません。その代わりペットボトル飲料の販売はしています(だいたい1本500円前後)。
山小屋は見知らぬ人と同部屋・雑魚寝です。繁忙期は込み合うので事前に子どもに説明しておくと良いです。配慮してもらえるので家族がバラバラになることはありません。寝具は山小屋に備えられています。また、就寝場所には、明日の登山に備え宿泊している人たちがいます。親子ともに騒がないよう静かにしましょう。また消灯後、ヘッドライトを使用するときは、寝ている人を起こさないように配慮が大切です。
食事・宿泊代、トイレ代は基本現金払いですが、最近はクレジットカード、QR決済を使えるところも出てきました。詳しくは各小屋へお問い合わせください。
一部の山小屋では、ブログなどで富士山の様子などの情報を発信しています。混雑状況や天候の状況など参考になります。富士宮ルートの山小屋の詳細、予約については、以下サイトを参考にしてください。
富士山表富士宮口登山組合(山室宿泊施設)
http://www.fuji-tozan.com/04_lodge.html
山小屋を楽しむ。 富士宮ルート
https://www.travelroad.co.jp/fujisan-yamagoya/fujinomiya/
登山のルールとマナー
動植物の採取は禁止です。また登山道を外れて歩くと貴重な生態系に影響を及ぼしてしまうので、登山道以外は歩かないようにしましょう。
溶岩や石の持ち出しは禁止されています。移動も禁止です。
建造物をはじめ、岩、石への落書きも禁止です。
テント設営、焚き火は禁止です。ガスコンロを使用する際は、火災を起こす恐れがあるため、山小屋や人混みを避けて使用しましょう。
ペットを保護地内に放すことは禁止です。一緒に登るのは禁止されていませんが、登山道は火山砂利なのでワンコの足にダメージを与える可能性も。山小屋内もペット連れはご遠慮いただいているようです。
当然ですが、野外排泄、ゴミのポイ捨ても禁止です。ゴミは必ず持ち帰りましょう。
富士宮ルートは登山と下山が同じルートとなっています。すれ違う時は登りを優先し、互いに譲り合いながら通ります。ムリな追い越しもしないようにしましょう。転倒や落石の原因にもなります。また、登山道ですれ違う場合には、「こんにちは!」「ありがとう!」と挨拶するよう子どもにも説明しましょう。そうするなら子どもの体調確認もできます。
できるだけ、登山道の山側を歩き、落石を起こさないよう注意してください。もし、落石を起こしてしまった場合には、大声で「ラク!」または「落石!」と叫んで周囲に知らせてください。
富士登山での危険
山での遭難で多いのは転倒や滑落です。無理な行程や、ルートが混雑しているときに起きやすいので気を付けましょう。富士宮ルートの場合、ご来光時間に合わせて夜間登山中に混雑が発生することがあります。子どもによっては夜間登山は危険が伴うので、ご来光は山小屋で見るなど、危険のない計画で登山してください。
富士山では、道迷いによる遭難も多いようです。富士宮ルートは1本道ですが、麓から山小屋に水や食料を運ぶクローラーが通る交差点が途中であります。また山頂では各ルートとの分岐点がいくつかあります。案内標識やロープ、ペンキで書かれている道しるべを確認しながら、正しい登山道を通るようにしましょう。
富士登山を断念する最も多い理由が高山病です。
高山病は、血中の酸素濃度が下がることで次の症状が出ます。
疲労感、脱力感、頭痛、めまい、食欲不振、吐き気、嘔吐など
予防策としては次の通りです。
・寝不足や体調不良時は登らない。
・出発前、五合目付近で1~2時間程度休憩し高度順応する。
・ゆっくりした一定のペースで登山する。
・体が冷えない程度の短い休憩を定期的に取る。
・こまめに水分補給し、かつトイレを我慢しない。
・登山中、しっかりと深呼吸する。
それでも高山病になってしなった場合は、体を暖かくして休むか、ひどい場合は下山もしくは救護所へ行きましょう。
富士山頂の気温は平地比べ20℃ほど差があるため、子どもや高齢者など、体力のない人は低体温症に陥りやすくなります。特にご来光待ちの早朝や夜間、雨や強風時にも防寒と防風対策が必須です。お盆のころでも、氷点下の気温になったり、雪が降ることもあるそうです。予期せぬ天候で死亡事故に繋がる可能性もありますので十分注意してください。
登山中は、強風、濃霧、落雷など天候も脅威になります。特に夏に多い落雷は、大きな事故につながります。また、山頂は吹きさらしとなることもあり、強い風雨や、視界のきかない濃霧時は非常に危険です。天候により無理をせず下山することも大事です。
富士山は火山が積もった地層なので崩れやすく、落石が多く発生します。過去には十数人が死亡した落石もあったそうです。落石に注意するだけでなく、落石を起こさないよう登山道だけを通り、注意して登山しましょう。
緊急時の連絡先
遭難や怪我により動けない場合には、早めに救助要請をしてください。登山シーズン中は臨時アンテナを設置して通話環境を強化しているので、携帯電話がつながります。山小屋に連絡をお願いすることもできます。その際、付近に標識がある場合は、標識の番号を伝えると対応が早くなります。富士宮ルートの場合、八合目に救護所があり、登山シーズン中の一定期間、医師が常駐しています。イザというときのために覚えておきましょう。
富士宮ルートの救助要請先
110番 または 119番
静岡県警察富士宮警察署
0544-23-0110
富士宮警察署富士山富士宮口臨時警備派出所
(富士山総合指導センター内)
090-2182-2239
富士宮市消防本部
0544-22-1198
富士宮ルートの紹介
水ヶ塚駐車場にクルマを停め、富士宮五合目登山口から登った時の様子を紹介します。
(2022年7月29日-30日の体験です)
①水ヶ塚駐車場から ※ここから体験談。
08:30
富士山二合目(標高1,450m)にある水ヶ塚駐車場。クルマから降りると目前には大迫力の富士山が!
水ヶ塚駐車場ではコロナ対策の検温と、富士山保全協力金を支払います。そのあとチケット売り場で切符を購入。9時出発のシャトルバスに乗り込みました。
②富士宮五合目登山口 (スタート)
09:35
富士宮五合目のバス停に到着。もうすでに雲の上。
バス停から少し歩くと登山口ですが、まずは高度に順応させるため辺りを散策です。約1時間くらい休憩したり景色を眺めたりして、体を慣らします。
10:30
いよいよ富士山登山開始です。
③六合目 雲海荘、宝永山荘
10:30
まずは最初の山小屋、雲海荘、宝永山荘に到着。まだ全然疲れていないので小休憩だけ取りました。二つの山小屋の前を通り抜けると、左に富士山、まっすぐに宝永山への標識があります。迷わず左の富士山に進んでください。
この日はとにかく天候には恵まれました。後ろを振り返ると、雲の向こうに駿河湾が見えます。山と海を両方楽しめるのは、富士宮ルートの良いところです!
④新七合目 御来光山荘
12:00
ちょうどお昼に御来光山荘に到着。大休憩をかねて昼食をとります。
⑤元祖七合目 山口山荘
13:50
今度は元祖七合目の山口山荘に到着しました。七合目が2回あるので気持ち進んでない気がしてなりませんが、着実に高度は上がっています。
時折見せる不思議な雲の表情が、非日常を感じさせます。
⑥八合目 池田館、富士山衛生センター
15:30
標高3,250m。八合目にようやくたどり着きました。ここまでくると気温も下がってくるので、寒い時は長袖を羽織るようにします。
ここは富士山衛生センターも併設されています。夏の期間は医師が常駐しているので安心です。
⑦九合目 万年雪山荘到着(ここに宿泊)
16:45
着いたー! 本日の宿泊予定の万年雪山荘に無事到着!
チェックインを済ませたら、就寝場所に案内されます。秘密基地のような二段ベッドの作りにワクワクします。
まずは荷物を置いて、一休み。寝具は枕と敷布団、寝袋が1式備えてあり、スペースもゆるく仕切られていて快適でした。
本日頂くのは、カレーライスと天ぷらうどん! 万年雪山荘は、名前の通り万年雪が山小屋の後ろにあり、ご飯を炊くときは雪解け水を利用しているのだとか。とにかく美味しくいただきました!!
夕方になると、下界は雲海に包まれて幻想的な風景に。
消灯は20時ですが、21時ごろに夜景と星空を見たくて山小屋から抜け出しました。神奈川方面の夜景です。
⑧2日目登山開始(夜間登山)
3:00
今回は御来光を山頂で見るため、中学生になった兄ちゃん念願の夜間登山。ヘッドライトを装着し万年雪山荘を後にします。ちなみに、その日の朝9時まで山小屋は利用できるので、不要な荷物を置いておくことができます。必要最小限のものだけ持って出発します。
登山者の光の道が山頂まで続いています。みずがめ座流星群,やぎ座流星群の影響で流れ星も何個か見られました。
⑨九合五勺 胸突山荘
3:50
東の空が白むころ、胸突山荘に到着。
⑩頂上→朝日岳で御来光
4:30
ついに頂上へ。しかし、御来光を見るためには富士宮ルートを登りきったところからは見えません。少し東に位置するピークである朝日岳へそのまま移動します。
4:40
朝日岳到着。すでに御来光をみるため登山者が集まっています。
4:48
御来光!!!ここに集まった人たちは、みな同じ思いでこの景色を眺めたのだと感じました。
⑪お鉢めぐり
5:21
朝日岳を後にし、そのまま山頂噴火口をぐるりと一周する「お鉢めぐり」を開始。少し歩くと山小屋の山口屋と久須志神社が現れます。ここは吉田ルートと須走ルートの分岐点なので、けっこうな人数の登山者が集まっていました。
お鉢めぐりで西側を歩くと、そこには「影富士」が。朝日を浴びた富士山自身の影が、裾野までしっかりと現れていました。
⑫剣ヶ峰(最高点)到着
6:50
富士山の最高点にあたる剣ヶ峰に到着。ここでみんな写真を撮りたいので、けっこう渋滞が発生。でもマナーを守り、ゆずり合って写真を撮ります。
日本で一番高い場所に立つわが子の姿は、今までより少し大人に見えました。
⑬浅間大社奥宮→下山開始
7:15
富士宮ルートの分岐点にある浅間大社に到着。これでお鉢めぐりは一周しました!
神社の横に、日本一高い場所にある「山頂郵便局」が設置されています。ここから手紙や絵葉書を出すこともできます。
7:20
下山開始。標識をきちんと確認して、富士宮ルートを下るようにします。
あとはひたすら下るのみ。
8:50
宿泊した万年雪山荘に荷物をとりに立ち寄りました。その際に、下山のお供&思い出として入手した「金剛杖」に焼印を押してもらいました。焼印は各山小屋によりマークが異なります(有料です)。
⑭富士宮五合目登山口 (ゴール)
13:00
ゆっくりと下山し登山口まで戻ってきました。怪我もせず、調子も悪くなることなく無事にゴール!
まとめ:親子で富士山を楽しもう!
今回の記事では、子どもと一緒に富士山を登るときに必要な、登山口の情報や山頂までのルートなどを記事にしました。日本一高い山に登ることができた…という感覚は、少なからず何かの自信につながっているような気がします。皆さんもぜひ、事前に調査や準備をして、親子で富士山にチャレンジしてはいかがでしょうか。子どもと一緒に感動的な景色、思い出に残る体験ができるはずです。
今回、紹介した富士宮ルートですが、早朝から訪れるのはけっこう大変です。その場合は、ゆとりをもって前日移動するのもありです。富士宮ルート付近のホテル・旅館を楽天トラベルから紹介します。
また、反対に富士山を登った後に温泉宿で一泊するのもありです。疲れが癒される温泉や海・山の幸を提供するホテルも数多くあるので、ぜひ検索してみてください。
ちなみに、このサイトではお金をかけないアウトドアの記事も人気があります。
こちらもご参考まで↓↓
また、一度の見直しでずーっとお得になる固定費の節約術についても紹介しています。
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なお、しっかりと生活費を見直したい人は、変動費の節約術の記事もあります。
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